【前回記事を読む】「お兄ちゃん…もう逃げたい」両親と死に別れ、妹と2人で入った施設…妹は職員に“色々”されていたらしい。知った時にはもう…
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そして僕と妹は、男が案内してくれたアパートで暮らし始めました。男は時々生活費を渡してくれて、生きていくのに困らなくなりました。妹は大川のことは信用していませんでしたが、施設から逃げることもできて、アパートでの生活に慣れてきたのかある日こう言いました。
『私、看護師になりたい』
妹が前向きな目標を見つけてくれたのが嬉しくて、僕は今まで以上にレッスンに取り組みました。アパートで暮らし始めて2ヶ月くらい過ぎた時、部屋に帰ると妹が倒れていました。病院で診てもらうと白血病だと診断されました。そのことを事務所に伝えると社長が
『それなら病院代を稼がなきゃな! 神木! 妹のためにも頑張らないとな』
そう言いました。
すぐにライブハウスでライブをするようになりました。ライブ活動の傍ら、妹に面会に行く生活が始まりました。ある日、妹を見舞いに行ったら妹が
『お兄ちゃん……やっぱり看護師さんってカッコイイ。私絶対看護師さんになる』
そう言いました。妹が希望を持ってくれたのが嬉しかったです。
でもその後、病院の先生に廊下に呼ばれ、妹の症状が思わしくないことを告げられました。
その日以降、何をやるにも上の空になりました。そして度々ライブの後、マネージャーに
『このままではファンが離れていく。あなたはスターにならないとダメなの! 妹のことはライブ中は考えないで』
と言われるようになりました」
俺は神木の独白を聞いていた。片倉も聴取記録をとっている。
そして神木は沈黙の後、俺を見た。俺も神木の目を見ていた。神木は話し出した。
「そして、あの日……」
神木がそう言うと俺は片倉に
「片倉……記録を取るのを中断しろ」
そう片倉に言った。