【前回記事を読む】アメリカ・シリコンバレーに住む起業家たちの資金提供源。彼らは銀行の融資を受けず、ビルの前で待ち伏せをして「意中の相手」に……
第三章 トガりのある自己PRの練り上げ方
拘(こだわ)る
同じようなことがチョコレートでもいえる。あなたがチョコレートを食べたいと思ってコンビニやスーパーのチョコレート売り場の前に来ると、お花畑の如く、色とりどりの様々な味のブランドのチョコレートが並んでいる。
その中から、テキトーに選ぶことはないだろう。恐らくあなたが選んで手に取ったチョコレートには、選んで手に取った理由があるはずだから。
例えば、私が学生達との話の中で引き合いに出していた、森永の「しっとり濃厚ガトーショコラ」。中を開けると一つひとつパッケージに包まれたエンゼルパイのような丸形のチョコレートパイが六つ入っている。とても美味しいので私はリピーター。既に今回で購入は三回目。それくらい気に入っている。
何故か? こげ茶色のパッケージが大人の味のイメージを醸し出しており、このチョコレートパイを食べると、白いケーキ皿にのった三角チョコレートケーキのような味がすることが描写されている。また、しっとりとした味わいに強調された「濃厚」の二文字。それでも更に際立たせた「濃」という文字が、チョコレートの濃さを印象づける。
大人の味がするということは、甘ったるくないビターなテイスト。でも、それでは表現が堅苦しいので、ひらがなで「ほろにが」をチョイス。こげ茶色で大人の味を演出するパッケージにコントラストが際立つ金色の文字で「ガトーショコラ」。実は高級感を表している。
というように、森永の企画者の意図どおりであるかは不明ではあるが、私の解釈で、このガトーショコラのパッケージはターゲットに向けてとても拘っている。
さて、それは何故だと思うだろうか? 学生に聞いてみる。そう。あなたに手に取ってほしいから。あなたに連れて帰ってほしいから。あなたに選んでもらって、買ってほしいから。だからこんなに拘っているのである。
面接官も同じ。面接官がお客さんだとして、お客さんが60点のチョコレートを買うであろうか。あなたがお客さんだったとして、あなたが60点評価のチョコレートを買うであろうか。まして、あなたが十万円を握りしめて、ヤ〇ダ電機に足を運び、60点評価のテレビだけど、まぁいいか……と大枚はたいて買うだろうか。買うわけがないのである。
面接官が60点と評価する学生を選ぶであろうか。平均点よりちょっと上。きっと選ぶことはないであろう。
でも、思い出してほしい。60点とつけたのは自分自身なのである。だから、決して自分自身を最大限に、魅力的にアピールするはずの自己PRで、自己評価60点の自己PRなんて、絶対に本番で披露しないでほしい。だから徹底的に拘ってほしい。そう力強く学生達に訴えている。
学生達は我に返り、「今気づかされました。60 点ではダメです。100点を目指さなくてはなりません!」と言われるのだが、私は学生達に決して100点満点中、100点を目指そうとは言わない。100点満点中、150点を目指そう! そう伝えている。そもそも100点満点に100以上の数字などないが、私が言いたいことは“突き抜ける”ということ。
「拘れ」とか「150点目指せ」とか、偉そうなことを豪語しているが、そういう中原さんは一体なんぼのもんなのですか?と学生に思われてしまっては説得力がないので、ここで私が二十八年前に使っていた、私の自己PRを参考までに聞いてもらうようにしている。