【前回記事を読む】自己PR、それで大丈夫? 就活生のほとんどが陥っているテンプレートPRでは面接官の印象に残らない!?

第三章 トガりのある自己PRの練り上げ方

自己PRは〝伝える〟ではなく、〝伝わる〟ことが目的

事実、私は二十八歳から二十九歳の若手の頃、二年ほどパナソニックで学生の一次面接官をした経験がある。当時は大学別選考が主流で、当社の場合は五年目から六年目くらいの若手社員が選抜され、一次面談は我々若手社員が担当し、そこで選抜した学生を二次の人事面談にあげるというルーティンになっていた。

私は同志社大学出身だったので、文字通り担当は当社を志望する同志社大学の学生達。

朝の十時から夕方五時頃まで、ひたすら出身校の学生との面接をこなす。学生も真剣だし、我々もいい学生を選び抜きたいので真剣。できるだけ学生達に、自然体でいいアピールをしてもらえるような雰囲気を作り、でも必死に面談に臨み、一人ひとりを見極めようとするのでとんでもなく疲れる。メモもしっかりとる。

でも、夕方全ての面談を終えて四十名から五十名の学生を振り返ると、誰が何を発言していたのかなかなか思い出すことができない。それが現実なのである。しかし、そんな中でほんの一握りの際立った学生がおり、我々面接官の脳裏に焼き付いていた。記憶と印象に残っていたのである。

面接官の印象に残ること、これはズバリ、顔と名前と発言した内容が一致すること。しかも、だいたいこのようなケースでは名前はフルネームで覚えていた。例えば佐藤さんや田中さんや鈴木さんではない。佐藤眞弓さん、田中愛彩さん、鈴木幸輔さんというように、我々の記憶に刻まれていたので、ES(エントリーシート)を参照し直しても、すぐにその人物像がピンときたのである。

自己PRで合否の判定が決定づけられるわけではないが、その人の印象が決定づけられるか否かは大方ここで決まる。

自己PRは、どこの企業でも、全ての面談でほぼ確実に聞かれる入り口の質問である。

「第一印象が全て」、こんな言葉があるが、実際のところ自己PRが相手に自分を印象づける面談全体で担う割合は極めて大きいのである。

自己PRは面談の入り口。相手の面接官に自分に対して関心を寄せてもらい、その後の質疑を良好に進める上でも、戦略的にシナリオを練り上げなくてはならない。面談の中での質疑を想定することは難しくても、自己PRは唯一、自分のみが知る自分を好きなように表現でき、自分にとって極めて優位性が与えられている機会なのである。