コロナ病床の確保
ダイヤモンド・プリンセス号船内で発生した769名のコロナ患者は症状に関係なく、感染症法の規定によりすべて入院加療が必要であったが、その受け入れ病院の選定と搬送はDMATの活動にゆだねられた。
当時2類感染症の対応病床は県内でわずか74床に過ぎなかった。
県内病院に新たに感染症病床を用意してもらい203床を確保したが、急場の対応には追い付かず、自衛隊中央病院を有する東京都に214名、千葉県の60名を筆頭に近県の埼玉(20名)、群馬(23名)、栃木(11名)、茨城(25名)、山梨(18名)、長野(14名)にお願いして広域搬送を行った。
その他、ちょうど開院準備中の藤田保健衛生大学病院での受け入れを快諾いただいた愛知県には135名の受け入れをしていただき、その他宮城県、福島県、岐阜県、静岡県、大阪府、奈良県と本当に多くの都道府県にご協力をいただき、患者全員の病院収容が可能となった。
残念ながら13名の死亡者を出したものの、何とかこの危機的状況を乗り越えることができたのは県域を越えた広範移送を可能とした災害時医療の適用の賜物であり、それに加えて、2類感染症病床の利用という従来の感染症対策の体制では一時にこのような大量の感染症患者に対応することはほとんど不可能であった。
県は国と協議し、感染指定医療機関以外での患者受け入れが可能であるとする体制変換を行って緊急事態を乗り切ることができたのである。
これにより一般病床を感染症病床に変換することが可能となり、その後起こってきた感染拡大の波に対し十分な準備をもって対処することが可能となった。
この項でのテーマであるコロナ診療の神奈川モデルはまさにこのような経験を経て生まれたものである。