【前回の記事を読む】広域災害発生時に被災県の要請を受けて、所属する県の要請・厚労省の直接の派遣要請により出動するDMATとは
第1部 コロナ初期 未知のウイルスに対し我々は戦う武器もなく、防備の支度もない中で立ち上がった
Ⅲ 神奈川県ではコロナへの対応は“災害時医療”として始まった
災害時医療とは(DMAT、JMATの仕組み)
統括DMAT登録者は各本部の本部長や指揮所のリーダーに就任する資格の基本となり、後述するEMISの情報管理において本部や指揮所運営に関して必要な統括者権限を付与されるものである。
すなわち広域災害時では現地における従来の医療機能がマヒしていることを想定して、広域な医療資源の有効活用を行うべく、非常時の医療提供体制を確保するための緊急時対応のための指揮系統を創設することとしている。
非常時には従来の慣習にとらわれない非常時のシステム構築が必要である。
COVID-19の感染爆発という非常事態に対処するためには災害時医療の適用は避けて通れないものであり、ダイヤモンド・プリンセス号からの患者搬送にあたり県が「災害」を宣言し、DMATの派遣要請を行い、統括DMATであった阿南英明先生を招聘したことは黒岩神奈川県知事の英断であったと思う。
ダイヤモンド・プリンセス号の事件が過ぎた後も阿南先生はこれに引き続いて起こるであろうCOVID-19の流行に向けての対策づくりに尽力された。
それが「コロナ診療の神奈川モデル」と呼ばれる医療体制の構築である。
藤沢市民病院の副院長であった阿南先生は新型コロナウイルス感染症神奈川県対策本部室の統括官として、また国のアドバイザリーボードの一員として以後の3年半をコロナ対策の先頭に立って活躍してこられた。
ダイヤモンド・プリンセス号での混乱の中で、得難い人材を神奈川は得たのである。