TBLT(タスクに基づく言語指導)

TBLT(Task-Based Learning Teaching)は1990年代から発展してきた教授法で、従来の言語教育とは異なり、学習の中心に「タスクの達成」を据えていることが特徴です。例えば、従来の教授法では「現在進行形」や「過去形」などの文法項目を学ぶことが主目的とされ、その文法を使ったアクティビティを取り入れることが一般的でした。

しかし、TBLTでは「買い物をする」「旅行の計画を立てる」など、実生活に即したタスクが先に設定され、学習者はそのタスクを達成するために必要な言語を考え、使用することを通じて英語力を身につけていきます。

ピーター・スケハン(Peter Skehan)は、タスクの実施に際して「どのような条件(conditions)を設定すれば、学習者の発話の複雑さ(complexity)、正確さ(accuracy)、流暢さ(fluency)が向上するか」を論じています。彼の研究によると、タスクの構造が明確で、学習者が何をすればよいかがはっきりと理解できる場合、発話の正確さと流暢さにプラスの効果が見られるとのことです。

また、タスクの後に「自分の取り組んだ内容を他のグループにプレゼンテーションする」や「タスクの内容を書き起こす」といった「ポストタスク活動」を取り入れることで、発話の正確さがさらに向上することも示されました。

日本における英語教育でも、このタスクベース・ラーニングは積極的に取り入れられています。例えば、高校の授業では「学校の食堂で食べ残しを減らすための具体的な方法を考える」というタスクを設定し、生徒たちはグループで議論し、実際にどのような方法が効果的かを考えながら、意見を出し合います。

このように、実生活に即したタスクを通じて、異なる視点を学び、コミュニケーションスキルを向上させることができます。

さらに、学習者は具体的なタスクに取り組む過程で、言いたいことが言えなかった表現を改めて調べたり、教師からのフィードバックを受けたりすることで、必要な単語や文法表現を習得します。このように、実際のコミュニケーションの中で必要となる言葉を学ぶことができ、学習者が実践的な英語力を身につけるための重要な手法として多くの学校で導入されています。

スケハンの研究も、この教授法が学習者の発話の質を高める可能性を示しており、英語を「使える」言語として習得する力を育成する上で非常に有効であることが分かります。タスクベース・ラーニングは、英語教育の現場において、学習者がより主体的に言語を活用する力を育てるための重要なアプローチとして今後も広がっていくことでしょう。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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