しかし徐々にうちの高校が押され始め、終盤には敗戦確定の雰囲気が漂い始める。

そこで監督が東堂をベンチに下げ、別の選手と交代させた。スポーツに詳しいわけじゃないけど、妥当な判断だと思う。

東堂が焦っている様子は観客席にいる私にも伝わってきていた。

来月に三年生にとって最後の大会が控えている中で、監督は東堂が無理なプレーをして怪我をするのを回避したいのかもしれない。

ベンチに戻る東堂を南さんが出迎える。悔しそうな東堂にタオルを差し出し、何か声をかけている南さん。いつも人当たりのいい東堂が険しい顔をしていると話しかけにくい雰囲気があるが、南さんは躊躇(ためら)わずに声をかけに行く。

すると東堂の表情は厳しいままだけど、少しだけ険が取れたように見えた。どんな会話かなんて想像もつかないけど、二人の間に確かな絆があることだけはなんとなく伝わってくる。

この光景を見た西海はどんな気持ちなんだろう。気になって、それでいて気まずくて、盗み見るように西海を見る。

驚いた。

西海はベンチの方向をそもそも見ていなかった。

東堂が交代になった途端カメラを構えるのをやめて、データの整理を始めていた。被写体である選手たちへの敬意が全くない。

私の視線に気づいた西海は、ちょうどよかったとばかりに話しかけてきた。

「北田」

「待って、やめて、嫌な予感。絶対面倒くさいこと言い出すでしょ」

「今とりあえず三十枚を十枚にまで減らしたんだが、自分だとこれ以上絞れそうにない。三枚くらいにまで減らしたいから残す写真を決めてくれ」

「ほらね、予感が的中した」