彼は実家での農業や漁業の経験があったので、この仕事自体はストレスなく取り組むことができた。

生鮮部門の仕事は、合宿研修時に指導員から「将来、店長を目指すのであれば生鮮部門を経験したほうが良い」というアドバイスがあり、第一希望を精肉部門にしていた経緯がある。

当時の主任から、冷蔵庫・冷凍庫の清掃は主任の仕事だと教えられた。特に冷蔵庫は毎日奇麗に清掃すること。冷凍庫は週に一度全ての商品を出して清掃すること。

実際にいつもピカピカだった。彼が主任になった後は、その教えを守って清掃を行っていた。

冷蔵庫の清掃は、在庫を全て把握できるため、発注修正の際に大変役に立った。彼は、生鮮食品を扱う際の大切な心がけを学んだ。

それは、「私たちは、生きるために『命』を頂いている。生鮮食品を扱う人間として、命の大切さ、商品を扱う際の責任感や考え方として、『命』を二度殺してはならない」ということである。

肉や魚はお店に届いた時は、すでに一度殺されている。店舗できちんと販売して、お客様に美味しく食べていただければ商品も喜んでくれるが、商品化や、計画が甘く販売期限を超えてしまうと廃棄することになり、「命」を二度殺すことになるという考え方である。

また、商品化を良くするためには、道具の手入れも大切な仕事として教えられた。

肉を捌(さば)くナイフの研ぎ方や、牛肉・豚肉を薄切りにスライスする機械の刃の研ぎ方は重要で、しっかり教え込まれた。