まえがき
今、書店でこの本を手に取った貴方は、どんな方ですか?
・就職活動を始めようとしている学生
・転職を真面目に考えようとしているビジネスマン
・スーパーマーケットなどの小売業界で働く同業者
・企業経営者
・その他
わたしがこの本を書こうとした目的は少し変わっているかもしれません。それは、仕事を探そうとしている方に対して、小売業・スーパーマーケットの仕事の面白さを伝えることだったからです。
わたしは、20年ほど前にある店舗で店長として仕事をしている時に、部下の社員に対して「あなたの夢は何ですか」と度々質問していたのですが、ある社員から「店長の夢は何ですか」と切り返されました。
その時は「趣味の磯釣りで日本一になること」と答えたのですが、これは自分を幸せにする夢であって、自分以外の人を幸せにする夢がないことに気づきました。
その時に、わたしがこの世に生まれてきた本当の役割「使命」を真剣に考えました。その答えが、これから仕事を探そうとしている人に小売業の面白さを伝える「本」を書くことでした。
わたしは、それから約20年間、スーパーマーケットの店長の仕事に携わることができました。その間の様々な貴重な経験がわたしの夢を実現するための大切なエピソードになりました。
幸運だったことは、わたしが勤務していた会社の方針が「店舗主導型経営」という、店長の権限を最大限認める方針を採用していたことです。おかげで、わたしは会社の方針を実行しつつ、自ら考えて決めた様々な取り組みを店舗方針としてチャレンジすることができました。
近年、地域密着の小売業界への就職を希望する若者が減っていると聞いており、この仕事の面白さ、ワクワク感や可能性を少しでも読者の皆様に伝えたいと心から思っています。
わたしが会社の経営者であれば、堂々と実名でのノンフィクションとしたいのですが、わたしは一社員であるため、小説のスタイルで物語を進行することに決めました。
但し、小説として描きましたが、主人公に起きた事柄は全て事実に基づいています。お世話になった会社に迷惑を掛けないように配慮しつつも、少しでもリアル感が伝わるように物語を進めたつもりです。
地方の田舎町に生まれたわたしは、おとなしい目立たない子供の頃から、自我に目覚めて成長し始めた大学時代を経て小売業に就職し、様々な経験を積んだ後、店舗の責任者になりました。
そして店長の仕事をする中で、小売りの仕事の面白さに目覚め、「GIVE&TAKE」に気づいて、人として少しずつ成長する体験をこの小説にまとめました。
それは、どんな物語なのか、ぜひ興味を持って読んでください。