【前回の記事を読む】【不人気業界?】地域密着の小売業界が、アツい。特定エリア内の生活ニーズに応える、店舗主導型経営の極意とは?

1.伝えたいこと

そして、店舗の責任者である店長は、地域特性や市場特性に合致した店舗方針を作成し、実行している。

元気堂の販売力の高さは、この一見非効率な形態の店舗運営を、店舗の付加価値にまで高めることで実現している。また店舗で采配する店長に大きな権限を与え、目標達成のモチベーションを最大限引き上げている。

そして、店長をはじめとする社員は、出てきた結果に対する改善意欲が極めて旺盛で、様々な機会での情報共有の中でスピード感のある改善活動を行っている。元気堂の店長は、本社方針の徹底というベクトルと、店舗主導の方針というベクトルとを使い分けながら、店舗運営を進めている。

こうした自由な発想や考え方で店舗の運営をすることに、やりがいと喜びを感じている店長が元気堂では多く活躍している。彼もその中の一人だった。このことが、この会社の販売力の高さ、効率の良さに表れていると彼は考えている。

直営で運営する衣料品、住居関連品、食品の効率改善を進めることは勿論だが、専門店の導入を社員が担っていることも、元気堂の強みの一つになっている。店舗規模が大型化する中で、専門店の店揃えは集客の重要な要素である。

つまり、店舗全体のマネジメント、効率改善、収益改善の考え方とその権限を店長が持っており、それが競合店との差別化につながっていると考えられる。

元気堂のDNAとも言える考え方がある。「イノベーション」「挑戦」「スピード」である。「ピンチ=チャンス」というスローガンも持っている。

現状維持ではなく、常に前を向いて革新を続けること―新しい挑戦を奨励しており、「実行しないと失敗なし。やらなかったら大きな罪」と言うように、やや強烈である。そして、実行にはスピードを求めており、「良いことは、少しでも早く実行しよう」という、勢いのある言葉が店長を後押しする。

彼は店長になり、様々な地域の店舗に赴任したが、敷地面積の広い巨大なショッピングセンターの雄姿を前にすると、よーし! 今度はこの店舗で自分のビジョンを実現してみせるぞ。そして、従業員や専門店様、来店されるお客様や地域社会の皆様を幸せにするぞと「ワクワク」していた。

そのやりがいの大きさを前にして、武者震いすることも多かった。プレッシャーはあるが、与えられる権限もその分大きくなる。