【前回記事を読む】「働いてなかったら、もっと早くに異変に気づけたかもしれない」生後1か月で復職した母は、その後悔を今も抱えていて……

人生を変えた海外留学

アメリカの大学のクラスは、留学生しかおらず、日本人は私ともう1人の2人だけだった。中国、韓国、インド、サウジアラビア……。英語を母国語としない彼らとのコミュニケーションは必然的に共通語の英語しかなかった。

拙い英語と身振り手振りのジェスチャーで伝えようとするのだが、なかなか伝わらない。もちろん、アメリカの学生との交流もあり、英語で会話するのだが、私の拙い英語でも意図をくみ取ってくれるので、思ったよりスムーズに会話できた。

授業は楽しかった。異文化に触れることは衝撃で、私の人生観を変えた。同じクラスに、イスラム教徒の友だちがいたのだが、お祈りの時間になると授業中であろうがメッカの方角に向かって祈りを捧げていた。

そしてみんなはそれを普通に受け止めていた。あとは断食にも驚いた。教科書で習っていたので断食という習慣があるのは知っていたし、漢字から推測するに、ごはんを食べられない期間があるんだろうな、くらいに思っていた。

「断食、ごはん食べなくてお腹空かないの?」

「うん。でも、食べられないのは日が昇っている間だけだから、大丈夫」

へっ。そうなの。断食って本当に24時間何も食べないのかと思ってた。よく考えれば何日も何も食べないなんて無理だよね。

教科書で勉強した時は何も不思議に思わなかったのに、イスラム教徒の友だちができて心配になり聞いてみた。それで、以前は気にも留めなかった細かいところまで知った。初めてのカルチャーショックだった。

留学先の住まいは大学の寮で、留学生しかいない寮だった。個室なのだが、ドアを開けておけば、部屋に入ってもいいという合図であった。私は人見知りではないので、ドアをいつも開けていた。すると、知らない外国人がどんどんやってくる。

「ハーイ! あなたはどこの国から来たの?」

日本人だったらいくら人見知りでなくても遠慮がちだ。ドアを開けていれば入ってきてもいい、という意思表示があったとしても、そんなに簡単には入ってこない。外国人のフレンドリーさにまたも驚いた。毎日、驚きの連続で楽しかった。

私は日本から折り紙を持参していて、それをいつも折っていたから、教えて欲しいとやってきた。

ニュースなどで、日本とあまり仲が良くないと言われる国の人や、国同士が戦争しあっているところの2人が友人として連れだってやってくることもあった。

自分が経験したことが本当のことだ。聞いたことがあるのと、経験したことがあるのとでは、天と地ほどの差がある。自分の経験に基づいて考えたり、行動したりすることは、根拠のある自信になる。

おいにも、自分で物事を決められるようになって欲しいと願っている。物事を決める時、ただ本で読んだだけとか、人から聞いただけとかで判断して欲しくない。

自分の人生だ、何かを決めなければならない時、自分で経験したことが何より正しい判断材料になる。おばは、自身の経験から、自分の世界を広げるのに旅はとても良いと思っている。