【前回記事を読む】『武士としてやらねば』…刀を手に、着物の前を開けて腹をさする。しかし、なかなか腹に刀を刺せず…
走れ安兵衛 ―安兵衛の恋・逢わずして許我ゆく駕籠に―
(シナリオ)
《江戸・番屋の前~通り(日替わり)》
次郎吉「今度は逃げねえで、俺と決着をつけようじゃねえか」
安兵衛「邪魔邪魔、どけ!」
次郎吉を押しのけ走り出すが、すぐに後ろを振り返って、
安兵衛「今度は出ようと思ってるぜ」
《広場》
一町歩くらいの広場で子供達が凧を揚げている。
五歳くらいの子供が、一〇歳位の体の大きい子から小突かれている。
広場の脇の道を走ってきた安兵衛が、目を留める。
安兵衛、子供達に近づいていく。
小突かれている子供(太郎坊(5))に、
安兵衛「太郎坊じゃないか、どうしたんだ?」
太郎坊「(泣きながら)糸が絡まっちゃったんだ」
小突いていた男の子が、
男の子「早くどうにかしろよ」
と、太郎坊の足を蹴飛ばす。
安兵衛「こらこら、何をするんだ。おとなしくしていろ」
と、男の子を太郎坊から引き離し、凧糸の絡まりをほぐす。
安兵衛「いいか、太郎坊をいじめたら、この安兵衛が許さないぞ。わかったな」
と、子供達をにらみつけ、安兵衛「なっ」と太郎坊の頭を撫でる。
もう一度、子供達を睨んでから、にっこり笑って、頷くと、子供達もつられたように頷く。
子供達の反応を確認して、太郎坊に、
安兵衛「今日はおじさんと帰ろう」
太郎坊「うん」
にっこりして、安兵衛と手をつないで、立ち去る。
呆然と見送る子供達。