般若心経ももう80回以上は唱えたかな。なんとなくつっかえずに読み上げることができている気がする。先輩遍路の皆さんは、経本などひろげない。既に頭に入っているようだ。素晴らしいものです。ロウソクもお線香も、こんなに立てたことないかもしれない。
今日はもう一つ42番札所まで回る予定なので、あまりゆっくりしていられない。41番を後にして、3・6km 先の42番札所まで歩きだす。その頃には日が差しはじめ、どんどん気温が上がり、体力メーターが急速に減っていくのがわかる。
ダメ人間な私はこの期に及んでもやはり、「私は馬鹿だ~~~~なんでこんなこと始めちゃったんだろ~」と叫ぶ。頭のどこかではもう1人の私が、「もういい加減諦めて文句言わずに歩けよ」と言っている。
しかも42番札所までの道は、平坦ではあるが、日差しを遮るものがなく、木陰1つなく、死ぬほど暑い。距離はないもののヨロヨロになりながら、42番に辿り着く。スカッと勢いよく山門をくぐった試しがない。毎回、ボロ雑巾のようになって這い上がる始末。お参りを済ませ、さすがに動けず、東屋でしばらく休ませていただく。
どうにも動く気になれない。理由はちゃんとある。今日もっとも苦痛なことが今から始まるのだ。なぜか……それは、近くの宿が軒並み満室で予約が取れず、かなりの距離を戻らないといけないのだ。最悪だ。死にそうになりながら、やっとの思いで歩いてきた同じ道をまた歩いて戻るのは修行ではなく、拷問以外の何ものでもなく、最もやりたくないことだ。
しかし歳はとっても、色気はなくても、女の身だ。野宿はやはり抵抗がある。宿が取れなかった以上、戻る他ない。仕方ないと、より重くなった足と心を引きずって歩き出す。涙が出てくる。「さっき歩いたよな……ここ。日陰ないじゃんこの道。さっきまで頑張ったのはなんだったのよ。なんでこんな目に遭わないといけないのよ」。一歩ごとにボヤいてしまう。
次回更新は7月18日(土)、18時の予定です。
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