【前回記事を読む】酒量が増えた夫は大声を張り上げ、喧嘩することもあった。ある日警察からの電話で夫を迎えに行ったところ…

マーガレットお婆さん

「最初はお酒さえ切らさなければ大丈夫そうだったんだけど……わたしは二つもパートをかけ持ちしてたんで、眠そうにすると話を聞いてないと言って、わたしを引っ叩くの」

夫は酒がなくなると妻の頬を平手で打った。次第にエスカレートして、ボクサーがサンドバッグを打つように、拳骨でお婆さんのお腹を幾度も殴打して気を失わせた。

マーガレットお婆さんは酒を切らしてはいけないと思いフラフラになるまで働いて、わずかなパート代でお酒を買って家に帰る生活を二年くらい続けた。

「重いスタウトの瓶を若くて親切な店員さんにクルマまで運んでもらえた時は本当に嬉しかったわ」

お婆さんは親切にしてもらったことを思い出してちょっぴり笑顔を見せた。

お婆さんは自分が真に献身的と言えるのか自問自答した。暴力で脅されているとはいえ、夫の求めに応じてアルコールを与え続けることを疑問に思った。

しかし、夫は家の中のあらゆるものを片っ端から壊し、家中滅茶苦茶にした挙げ句、家の外へ飛び出して野獣のように大声で叫ぶのであった。

「耐えかねた隣人が警察を呼んで、夫は警察に連れていかれたの。その日の晩は留置場で過ごしたわ。わたしは隣近所に謝りに行った。最初同情的だった周りの人たちは、狂気に取り憑かれた老人を気味悪く思うようになった。視線が恐かった。噂話が聞こえて、惨めで屈辱的な気持ちになった。街を出る覚悟をしたわ」

マーガレットお婆さんは悲痛な過去を思い出し、しばらく声が出なくなった。体中が小刻みに震えていた。わたしはマーガレットさんを抱き締めてあげた。