今から三カ月前、沙耶は体調がすぐれないので、地元にある消化器内科がある総合病院を受診した。
二週間の入院の間に様々な検査を行い、医師から末期の胃がんと診断を下された。
入院期間中には、隣の病室から男の子が遊びに来て話をするようになった。
男の子は心臓の病気で大きな手術をしないと助からないということであった。しかし、手術には莫大な費用がかかり、男の子の親はその工面ができないと話していた。
自宅に戻ったその晩、沙耶はなかなか寝つけず、ベッドの上で何度も寝返りを打った。
余命三ヶ月。
しばらく体調が悪かったので、何かしらの疾患が見つかるかもしれないとは予想していたが、まさかがんを宣告されるとは。
七十歳を過ぎたいま、死そのものに対する恐怖心はない。
唯一心配なのは、五人の子供による相続争いだ。兄妹間で揉めごとが起こらないようにするには、どうすればいいのか。
すっかり眠気が覚めてしまい、天井を見つめながら思案に耽った。不意に強い光に包まれた沙耶は、まぶしさに耐えきれずまぶたを閉じた。
いったい、何が起きたのだろうか。