すると亀井が冷静にこう言った。
「……お前、大人しい奴だと思っていたが、案外そうじゃないところもあるんだな」
「すみません。よく友人にキャラがたまに変わるとは言われます……」
「ま、そうじゃないとあの場で1人になっても残らないか」そ
う言って亀井はクスッと笑った。だが、すぐに表情を変えてこう言った。
「熱く語ってもらったところ申し訳ないが、ぶっちゃけその年で未経験者がこの業界に飛び込むのは無謀だと思う。お前の年齢ぐらいだと、もうデビューしてないといけないくらいだからな」
やっぱりそうだ。大輔も自分自身である程度は理解していた。だが、業界のプロに改めて言われると多少落ち込む。
やっぱりダメか? 不合格か? 挑戦すらさせてもらえないのか……。大輔は唇を噛んだ。
しかし亀井から意外な言葉が出てきた。
「だが、挑戦する権利は誰にだってある」
「え…………」
大輔と由香が目を丸くした。由香がすかさず、
「亀井さん、それって……」
「察しろよな。不利な材料が多いが、それ言ったらこの計画自体を否定してしまうことになる。ステップ1はクリアだ。次のステップに移れ」
亀井は照れ臭そうにそう言った。大輔はまだピンときていなかったが、由香が喜んだ表情でこう言った。
「沢崎さん、おめでとうございます! 適性と判断したので合格です! 一緒に頑張りましょう」
そこでようやく、大輔は面接に合格したのだと理解した。
「よかった……ダメかと思いました」
大輔は安堵した。だが、喜んでばかりはいられない。あくまでも挑戦できる権利を得ただけだ。まだスタートラインにすら立っていない。