こうして、新たな事業創造も戦略コンサルタントがカバーするべき一領域となっていきました。
戦略コンサルタントであった私は、まさにこの流れでごく自然に事業創造の領域にたどり着きました。そして、そのまま事業創造が自身のメインフィールドとなり、私は戦略コンサルタントとして、多くの大企業の事業創造に深く関わるようになったのです。
しかし、過去の自分のことを棚に上げつつ言えば、新たな事業創造を戦略コンサルタントが支援することは明らかにおかしいでしょう。その理由を説明していきます。
そもそも戦略コンサルタントが実務に携わらないのにも関わらず、その会社の行く末を決める重要な戦略を策定できるのは、価値ある情報をインプットできるという前提があるからです。
中期経営計画や事業計画を策定するにあたっては、一部は市場から、多くはクライアントから、価値ある情報を受動的、能動的に獲得し、それを取り込み、加工し、次に進むべき道を導きながら、計画という形に落とし込みます。
そして、既存事業においては、クライアントに必ず貴重な情報が存在します。なぜなら、クライアントは長い間、競合と必死に競争しながら既存事業におけるPDCAサイクルを何度も何度も回しているからです。生々しい体験談と実情ほど価値のある情報はありません。
戦略コンサルタントは、時に資料、時にインタビュー、時にディスカッションや懇親会から、さまざまな価値ある情報の欠片を掘り出し、察知し、それを丁寧に紡ぎ、戦略という作品に仕上げていきます。
この作業が、戦略コンサルタントがプロフェッショナル職業と位置付けられる所以になります。一朝一夕にできるものではないので、コンサルティングファームは、多くのコンサルタントがこれらをできるように教育投資を行っています。
ただ、ここに不都合な真実が隠されています。取得できる情報の質でアウトプットの質が決まるという単純な方程式の下、新たな事業創造においては、価値ある情報がほぼ取得できないのです。
まず、最も頼りにしているクライアントに情報が、生々しい体験談や客観的に頼れる実績がない。次に市場に目を移しても、当然ながら、領域が新しければ新しいほど、情報量が限られます。
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