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長年議論が紛糾し、ようやく国会で可決・施行された棄老政策は、現代版「姥捨山」以外の何物でもない。
日本では今日(こんにち)、満六十五歳以上の高齢者は全て、権力や財産の有無に寄らず、北海州に移送される。北海州はかつて「北海道」と呼ばれた日本の一地方自治体だった。
最近では「北海道」と記された地図を見ることもなくなった。
いや、むしろ「北海州」すら表記されない地図がほとんどだ。北国で冬が長く、住むには厳しい北海州。その人口は、本土のわずかな行政担当者を除き、六十五歳以上が一〇〇%である。経済状態はすこぶる悪い。
労働人口が少ないため、発展する可能性は限りなく少ない。それでいて本土からの経済的・人道的な干渉はほぼない。
六十五歳以上は文字通り、政府によって捨てられたのだ。無論、北海州に送られた高齢者たちの中には、怒りを抑えられない者もいた。
――日本には日本古来の美徳がある。長幼の序はおろか人倫に反する政策などに従ってたまるか!
制度の転覆を謀って運動を企てる者があとを絶たなかった。
だが、北海州には本土のスパイが大勢いる。不穏な動きは当局によって火の手を起こす間もなく揉み消された。
その背後には、高齢者同士の密告があった。
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