夜の海が、底の方から轟々と鳴っていた。ボートが岸を離れ、どれくらい経つだろう。一隻に十人。二隻で合計二十人。乗り込んでいるのは六十五歳を過ぎた熟年の男たち。どの顔も逞しく、日に焼け、潮に晒され、汗と疲労で汚れていたが、目は死んでいなかった。彼らはボートの左右に座し、自分に任されたオールを一心に操(あやつ)っていた。轟々という音は、いつまでも続いた。そのうちに誰も気にとめなくなったが、元漁師だとい…
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