【前回の記事を読む】父がゲーム機を直し、兄は涙目で狂喜乱舞したが、消え去ったゲームデータを目の当たりにして…

父たちの肖像

父は向こうへ逝ってしまう時まで寡黙だった。

突然の心筋梗塞。言葉も交わさぬままの別れ。

前日まで何の予兆もなくいつも通り仕事から帰って晩酌をしていた父は、サメ映画のジョックやビッチよろしく急に昇天した。濡れ場すらなかった。

「え? 嘘でしょ?」みんなそんな感じだった。

冗談のような急逝に、兄も姉も母も、全く感情が追い付かず、しばらく狐につままれたような生活が流れた。

一通り落ち着いてから、遺品を整理している時に、ふと父の過去や趣味などに疑問が湧いてきた。あの人は結局どんな人だったんだろう?

ある日、亡き父の車の中を片付けていると、運転席から何かが音を立てて崩れるような音がした。

それは開け放したダッシュボードから荷物が飛び出す音であり、父の尊厳が砕ける音でもあった。

シートに散らばるDVDや雑誌、そしてダッシュボードから覗く衣類らしきもの。その傍らで母や姉が固まっていた。兄は何だかニヤニヤしていた。

『放課後、制服のままで。~第12話 池袋編~』……『スクール・メモリーズ 昭和編』…… 女子用のスクール水着……体操服……セーラー服……

その時、現役で女子高生だった姉の学校は、ブレザーであったし、体操着もこんなブルマでなかったし、水着も形が違ったため、辛うじて近親相姦は免れた。

ならば、これらは何に用いる衣類であったのか? 風俗嬢に着せるため? 個人で楽しむため? ……まさか日頃から着用していたのでは?

憶測が憶測を呼び、かくして陰なるヒーローは、日の下に晒されてその面影を失い、我が家のダークナイトは、死してジョーカーに転生した。