「そんな、申し訳ないです」というと、「いいんだよ、ここはジジイとババアの溜まり場で、毎週月曜日にパン屋になるんだ」と、おじいさんおばあさんたちの輪に引き込んでくれた。1人のおばあさんは自分のために買ったアンパンとデニッシュとコーヒーロールを私に手渡してくれた。

申し訳なさと嬉しさで目頭が熱くなる。冷たいアイスコーヒーと出来たてのアンパンは今まで食べた中で一番美味しかった。皆さんに納め札を渡し、 26番へ向かった。この出会いを写真に残せなかったのが残念だ。痛恨のミスを犯し、一生自分を恨みそうだ。

25番と26番でニュージーランドから来たノアと知り合った。爽やかな彼は「僕は離婚したてでこの旅に来た」と満面の笑みで言う。できれば彼と歩きたいと思うほど爽やかだったが、身長2mで足が長く、歩幅についていけない。

一緒に歩いた短い時間、見晴らしの良い場所では「I’m free!」と両手を上げて叫んでいた。気持ち良さそうだったので、 3度目からは一緒に叫んでみたら気持ち良かった。

一方、同行者のジュリオは文句ばかり言い、わがままで、完全なお客様状態だ。四国で出会う外国人は皆、言葉の通じない日本で自分で宿を確保し、通訳アプリや本や地図を駆使して1人で歩いているというのに。

体力も精神的にもギリギリで、3人分の宿を敦美ちゃんと私で交代で予約する毎日。

3人だと「1人ならいいです」「2人なら入れます」と断られることが多い。受け入れてくれても「1部屋でぎゅうぎゅうなら」という条件付き。時間ばかり過ぎていくし、寝場所確保を考えると贅沢は言えない。やっと確保してホッとしていると、食事がないと嫌だとか、部屋は1人で使いたいとか文句ばかり。3人で取れる宿自体が少ないのに。

やってもらうことが当たり前だと思うような人間も世界中にいるんだと実感した。

他の人のように自分で探して予約すればいいのに、と腹が立つ自分に驚く。普段は面倒見がいい方なのに、赤の他人にこんなことで腹を立てるとは、本当にギリギリな状態なんだと情けなく思う。この旅で自分がいかに小物で情けない存在か思い知らされている。とにかく何があっても歩くしかない。最後まで絶対行ってやると決意を新たにした。