ポイント5 売却だけの選択ではなく、現状維持や土地活用を検討することも大切
ここまで、不動産の売却に焦点を絞ってお話しさせていただきました。しかし、売却することが全てではないことは知っていただきたいと思います。
昔の話ですが、相続手続きで不動産を売却する場合、担当した不動産会社が、高く売れる条件の良い物件から売却する提案をすることが多かったという話を聞きました(売りやすいからとのこと)。
その結果、どうなったかというと、価値の低い売れない不動産が残り、固定資産税を払い続けるだけの悲惨な状況になったということです。
そもそもこのやり方は、個人的にお勧めできません。私なら、価値がない不動産から処分することを検討します。
そして、不動産の最有効活用方法を考えた時、対象地が売却よりも不動産活用にメリットを見出せるならば活用を提案します。
売却は、一時的に利益を創出します(時と場合によっては損するケースもあるでしょう)。しかし、不動産活用であれば、長期にわたり持続的な利益を生み出すことになります。
すなわち、相続不動産対策においては、長期的視点が不可欠ということなのです。
また、よく聞くのが、相続税を納税するために不動産の売却を勧められるケースです。
「期限が10ヶ月しかないから、すぐに売却しましょう!」と、期限があることを理由に売却を急がされることがあるようです。しかし、このような場面だからこそ、落ち着いて対処することが大切です。
相続税は、不動産を売却せずとも払える方法があります。
例えば、延納制度もありますし、不動産を所有していれば、その不動産を担保にして金融機関から資金を調達すればよいのです。
この方法で相続税を支払った方は、少なからずいらっしゃいます。なんでもかんでも売却して現金化することが良いとは限りません。
長い目で見れば現状維持のほうが良い場合もあり得ます。担当者が変に売却を急がせていないか見極めることも大切です。
以上、私の章では、相続において検討する場面が多い不動産の売却に絞ってお話をさせていただきましたが、まずは不動産そのものの価値を、コンサルタントなどに相談してご本人が理解したうえで、売るのか、現状維持とするのか、もしくは不動産活用を行うのかを見極めることの大切さをご理解いただけたかと思います。
お一人では判断しづらいことは、複数の専門家にヒアリングすることで道が開けます。なお、前述したように相続不動産の売却には税金の知識も必須です。
二章を担当した植崎税理士のように相続と不動産に強い税理士との連携も大切であることを追記しておきます。
相続する不動産は先祖の想いのつまった大切な不動産です。その大切な不動産を相続人が大切に扱えば、必ず円満相続となると私は思っています。
どうぞ一人で悩まず、様々な専門家に相談して、より良い道を開拓してください。
ここに書いたアドバイスが少しでもお役に立てば嬉しく思います。
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