【前回記事を読む】首都圏から農産物が消える!? トラックドライバーの減少と労働時間規制がもたらす影響は――

はじめに 今こそ、物流新幹線!

第1章 今なぜ、「自動運転による列島改造」なのか

迫りくる「物流破綻の危機」

2030年には物が届かなくなる!

首都圏から農産物が消える!

新たな労働規制のもとでは、九州‌⇔‌首都圏間の輸送は、首都圏で帰り荷を探して帰路に就くと、ほぼ1週間行程のサイクルになっている。

労働時間の規制で、ドライバーは、表面上では時間的には楽になっているかもしれないが、長らく抑えられてきた賃金はそう簡単に上がりそうもない。

田中角栄元総理の時代(昭和の高度成長期)は、長距離ドライバーはきつくとも、実入りのいい職業であった。

学歴がなくとも一流企業のサラリーマンに引けをとらない稼ぎができた。しかし、今ではきついだけの「魅力のない職業」となっている。

これではドライバーのなり手はますますいなくなるであろう。全日本トラック協会でも、外国人への開放が唱えられ始めているが、3K・低賃金労働を外国人に転嫁するだけでは、抜本的な解決にはならない。

最下層にあるドライバーの賃金構造

最下層にあるドライバーの3K・低賃金労働の主な原因は、運輸業界の常識となっている多重構造にある。運輸業界は荷主に頭が上がらない。

ようやくトラックGメンの導入などで国交省も監視を厳しくするようになったが、荷待ち時間や、運転業務以外の付帯労働を荷主に押しつけられるなど、本来業務の運転時間以外の拘束時間が非常に長い。

なぜ、そうなったのかというと、平成2年に貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法(いわゆる「物流二法」)が施行され、経済的な規制の緩和が進められた結果、新規参入事業者の増加により運賃が低迷、さらにそのなかにおいて、大企業である荷主は大手運送会社に物流業務を委託する。

さらに、大手運送会社は、面倒な長距離幹線輸送のような業務は、無理のきく下請け企業に再度委託する、そんな状態がずっと続いてきた。宅配便大手企業のなかには長距離便を下請け事業者に、すべて依存しているところもある。