一方、下請け企業群は過当競争のなかで、採算ぎりぎりの業務も請け負うことになる。加えて、下請け企業のなかでも階層があり、最後は数台の大型トラックでやりくりしている零細企業が調整弁としての役割を請け負うことになる(2024年「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」が成立、

ようやく元請け事業者に対し、実運送事業者の名称・貨物の内容および運送区間などを記載した実運送体制管理簿の作成(様式自由)を義務づけ、下請け取引の健全化に係る努力義務を課すこととなった。2025年4月1日から施行)。

このような企業は、車を稼働させるだけでも「良し」とするので、採算度外視でも引き受けることになる。

そうなると、最後のしわ寄せは個々のドライバーとなる。長距離輸送におけるコストの半分は人件費なので、ドライバーの賃金を抑えることが、収支改善には一番簡単である。従って、いつまで経ってもドライバーは、この業界での最下層に留まってしまうのである。

加えて、田中角栄の時代と異なり、ドライバーは分単位で管理されており、労働密度はどんどん高まっている。

菅原文太の『トラック野郎』のほのぼのとした世界はすでにそこにはない。少しは、米国のトラック労働組合を見習い、トラックドライバーが連帯して産業別労働組合でも組織して待遇改善に向けたストライキをするくらいのことをしたほうがいいかもしれない。

米国の労働組合の強力さはかつてのビッグスリーと言われた米国自動車産業の弱体化を招来し、今般の日本製鉄のUSスチールの買収事案でも、労働組合が大統領選に大きな影響力を行使した。

これを「良し」とは思わないが、このままでは、トラックドライバーの絶対的不足は、継続的な運賃の上昇と物価の高騰要因となっていくだけであろう。そして、最終的には、物自体が届かなくなる。そのツケはもうすぐ国民自身にやってくる。

地方経済の疲弊と首都圏消費経済の麻痺

さて、首都圏の農産物供給の4割は500km以上の遠方の産地に頼っている。今後、一層遠隔輸送が困難な状況になってくると、首都圏への農産物の供給が滞り、価格高騰が続くことになりかねない。一方で遠方の産地では首都圏消費経済へのアクセスがどんどん難しくなり、地方経済は疲弊していく。

首都圏消費経済・地方経済の双方において、両者を円滑に繋ぐ仕組みがどうしても必要である。それが、「幹線輸送の自動運転化」によるネットワークの構築である。人体でたとえれば、大動脈の大胆な若返り策と言えよう。

 

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