レティシア姫
レティシア姫が国に帰ってきたという大(だい)ニュースは、あっという間(ま)に国中(くにじゅう)に広(ひろ)まりました。それからはもう、国中がお祭(まつ)り騒(さわ)ぎとなりました。お城の中ではパーティが行(おこな)われ、国民たちは、レティシア姫を一目(ひとめ)見ようと、お城へつめかけました。
アルフレドも、何が何だかわからないままに、たくさんの人たちに質問(しつもん)されたり、「あなたはレティシア姫を助(たす)けた英雄(えいゆう)です」と言われて握手(あくしゅ)を求(もと)められたりと、まったく大変(たいへん)な騒ぎなのでした。
アルフレドは、少し一人になりたくて、バルコニーへと出てみました。
お城の外には、たくさんの人々の姿があり、みな口々(くちぐち)にレティシア姫の名を呼んでいます。
(すごいなぁ、レティは本当にこの国のお姫様で、こんなにもみんなに愛(あい)されているんだ)
アルフレドはそのまま、少しの時間(じかん)、夜の風にうたれていました。
「アル」
アルフレドのことを探して、レティもバルコニーへと出てきました。
「どうしたの? アル」
「うん、なんだか、こんなにたくさんの人に囲(かこ)まれたことがなかったから疲れちゃって」
「そう。大丈夫(だいじょうぶ)? アル」
「うん、大丈夫。でも、すごいね。みんな、こんなに喜んでいる」
「そうね。わたしもとても嬉しいわ」
アルフレドは、レティのことを普通(ふつう)の女の子だと思っていたので、まさか本物(ほんもの)のお姫様だったなんて、まだ信(しん)じたくありませんでした。
できれば、自分と旅をしてくれる、自分だけの唄姫でいて欲しかったと思うのでした。
「レティ」
「何? アル」
「あのさ……」
アルフレドが何かをレティに言おうとした時、それをさえぎるように〝レティシア姫〟と呼ばれて、レティはまた、宴(うたげ)の中へとつれていかれてしまいました。
アルフレドは少しうんざりしながら、
(この大騒ぎは、いつまで続くのだろう)
と思いました。
その日の宴は、夜おそくまで続いたのでした。