【前回の記事を読む】ある日突然あらわれた、私の歌を聞いてくれる人。だけど、目を覚ますとその姿は見えなくなっていて…
砂時計の中の唄姫
旅人は一生懸命に走り、大きな砂時計の所までやっとのことで戻ってきました。
そして旅人は、大きな砂時計を見てびっくりしました。
なんと、大きな砂時計の中に、たくさんの水(みず)が溜(た)まっていたのです。
(ああ、どうしてこんなことに……)
旅人は大きな砂時計の前で立ちつくしてしまいました。
大きな砂時計の中をよく見ると、水の中に座りこんで女の子が泣(な)きじゃくっていました。
旅人は思わず女の子に向(む)かい、大きな声で叫(さけ)びました。
「どうしたの? なんでこんなことになってしまったの!?」
その声を聞いた女の子は、顔(かお)を上(あ)げて旅人の姿を見つけました。
「帰(かえ)ってきてくれたの?」
悲しくて泣いていた女の子の涙が、今度(こんど)は嬉しい涙になっていました。
「そうだよ。どうしても君(きみ)にもう一度会いたくて。ああ、どうかもう泣かないで」
旅人が女の子にそう言うと、女の子も顔を赤(あか)くして
「わ、わたしも、あなたにもう一度会いたくて」
と言いました。その時です。
大きな砂時計がグラリと揺(ゆ)れました。
旅人があぶないと思ったその時、とっさに砂時計に飛(と)び付(つ)きました。
大きな砂時計は、二人もろとも地面(じめん)へと倒れていきます。
「うわぁーーーーーーーーー!」
「キャーーーーーーーーーー!」
ガッシャーーーーーーーン!!
大きな大きな砂時計は地面に当(あ)たってわれてしまい、旅人と女の子は中にあった水もろとも流されていきました。