第一章

教習所の天使

「初回はオリエンテーションとなりますので、本日予約されますか?」初めの子がほほ笑んで言った。

三人そろって「お願いします」とほほ笑み返しをした。

「それでは、予約の端末とスマホでの予約方法を説明いたします」と、それぞれが女性スタッフから説明を受け、直近の予約を入れて手続きを終わらせ、教習所を出た。

「めっちゃかわいい子ばっかりやな」とさっそくトン吉がテンション高く話す。

キーボーが「どの子がタイプや?」と翔太に聞く。

「俺はキーボーの子」

「俺は翔太の子や。代われば良かったな(笑)」

「俺はみんなタイプ!」とニヤニヤとトン吉が言うと、キーボーが「あの誘い方はアカンわ。初めての子にごはん誘って、他の子見てたら気悪いで」

引きつった顔のトン吉が「翔ちゃん! ちゃんとフォローして!」と叫ぶ。

三人はゲラゲラ笑って帰っていった。

報告

昼休み、翔太は先輩とコンビニに昼飯を買いに行った帰りに、トン吉の店にエクレアを買いに立ち寄った。

「まいど〜」とお店に入っていくと、

「あ、翔太さんいらっしゃいませ。トン吉さん、翔太さんです」と元気いっぱいなスタッフがトン吉に声を掛ける。それから、「いつものですか?」「よろしく」と翔太はやり取りをした。

頭を使う仕事は実は結構疲れる。そんな時は、脳は甘い物を必要とする。聞くところによると、同時通訳者は頭をフル回転するので、板チョコを二枚程食べるそうだ。

「おつう〜今日もテンパッてんか? 先輩、こいつ仕事できてますかぁ〜?」と、トン吉が顔を出した。

先輩が一言「はぁ〜」とため息をついた。翔太もはぁ〜となる。

先輩が「まあ最近は少しできるようになったかな」と笑いながら言った。

「さらなるご指導よろしくお願いします。それでは好きなん一個選んでください」

「マジで? やったー! じゃ、面倒見てやりますか(笑)♡」と先輩は楽しそうにショーケースに並ぶタルトやモンブラン、オペラにマカロンの中からケーキを選び出した。

トン吉が「先輩、一個でええんか? 夜の分ももう一個いるやろ」と言った後、スタッフに「先輩の分二個コイツの会計につけといて」と一言。

「なんじゃそら」と翔太が突っ込んだ。

トン吉は自分を売り込むのが上手い。ま、先輩にはいつもお世話になってるので良しとしよう。会社のメンバー用にクッキーも追加して会社に戻った。

三時にクッキーをみんなで分けて雑談している時に、「先輩、俺バイクの免許申し込んでバイクに乗るんっす」と翔太が話し出した。

「そうなん? バイク好きやった?」とクッキーをつまみながら先輩が聞いてきた。

翔太は先日初めてバイクに乗った話に加え、免許を取れば叔父さんからバイクをもらえることになっていることを説明した。

「確か社長もバイク乗ってたんちゃうかな? 社長〜社長〜」社長が社長室から出てきた。

「社長ってバイク乗ってますよね?」と先輩が聞くと、

「釣りだけかと思ったか?(笑)バイクも乗ってるよ」と楽しそうに答えた。

「金城がバイクの免許取りに教習通うんですって」 社長がクッキーを一つ取って、

「お! いいな。取ったら一緒に走りに行くか〜!」と言う。