他の犬も、こんなものなのかなぁ? 不安に思いネットで調べてみると、『肥満の大敵、早食いにご注意を!』と書かれ、対策グッズも多数販売されている。

なんでも金を出せば解決できる話になっているのか……。今後の出費が思いやられた。

『まだ、赤ちゃんですから、大半は寝ていますが、環境の違いに敏感で、甘えん坊なところがあります。気にしてもキリがないので、無視して結構です。初めが肝心ですから、毅然とした態度でしつけをして下さい』

私はショップのチーフさんからの教え・其の一を思い出し、鼻声も無視して無意味にケージから出さないようにした。

しかし、愛くるしい顔を見ていると、つい外に出して抱きしめたくなる。

ビーグルは元々、きょうだいの多い犬種らしく、群れて暮らしている。そのため、本来はきょうだい同士、噛み合いながら加減を覚えていくものらしい。

しつけの際、その加減がわからずトラブルが発生する場合もあるという。確かに、既にあちこち噛まれている。

乳歯が生え変わるこの時期は、特に相手かまわず噛みまくるので要注意といわれたが、具体的にはなす術がない。

チーフさんの教え・其の二。『強い口調で叱ることも大事です。でも、決して手を出してはいけません。人を怖がって、手に噛み付く癖がついてしまいます』

一方、甘噛みには早く慣れさせて下さい、と軽くいわれたが、幼児の割には結構な牙を持っている。

とてもじゃないが、好んで口に手を入れられる状況ではなかった。私はまた一つ、「噛み癖」という壁にぶち当たった。

そんなことをあれこれ考えながら、朝からBSの野球放送を眺めていた。

大物ルーキーとして入団し、日本野球界で活躍した選手が海を渡って以来、私は彼の活躍が楽しみでならなかったが、マーカスのことが気になって集中できない。

ケージの中でジャンプしながら、つぶらな瞳でこちらをじっと窺っている。まるで、出してくれよう!と訴えるように。

「んだよな(そうだよね)。そったどこさ(そんな狭いところに)、閉じ込められだって、嫌だよな」

早くも親馬鹿振りを発揮し、ケージの扉を開けた。すると、尻尾を振りながら飛び出してきたマーカス。よっぽど、外が恋しかったのだろう。そのまま、しばらく好きにさせた。

その間、彼の愛嬌のある姿を眺めながら、いつのまにかテレビのスイッチは消していた。

次回更新は6月10日(水)、7時の予定です。

 

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