【前回の記事を読む】「これまでのことをお聞かせください」声をかけると涙を流す女性。「わかっていますよ。大丈夫です」というメッセージを…

第一章 承認メッセージこそが万能薬

「よく頑張っているね」を「ことば」で伝えたい

カウンセリングの3要素とは、傾聴・承認・共感であると言われ、またコーチングの3要素とは、傾聴・承認・質問の三つと言われます。

この中で、傾聴は丁寧に聞くということですね。

よく外来で「話を聞いてもらっただけで気持ちが楽になりました」と言われることがあります。この時には同時に、お聞きする行為とともに承認メッセージが含まれます。

ある高名な先生は、「ほーっ」と「フーン」「えっ」などの合いの手で相手に安心を届けられるのだと聞いたことがあります。これは本当に名人芸です。

私たちは、「そうですか」「……ということですね」「それは大変でした」「なるほど、ご自分なりに工夫されて、頑張ってこられたのですね」という承認メッセージになります。

外来診療の中では、患者さんに対して承認メッセージを出せるように、そのポイントを一所懸命に探します。

それは第六章や第七章で詳しくお話しする、「プラスを見つける練習」に通じるものです。毎日やることで、磨かれていきます。

体力的にそんなに強くなく、人間関係も得意でない方が、何とか休みながらも仕事を継続しておられます。そんな時は、「からだの調子に合わせて、上司ともほどよい距離を取りながら、上手に過ごされていますね」

家族関係が円滑でなく、何でも自分で判断して、対処して、努力して何とか仕事を継続しています。

そんな方に対して、「味方が少ない中で、ご自分なりに努力して、考えて判断されて、頑張っていますね」

職場復帰したあとの面接において、本人は「疲れてしまって、もう一度休みたいほどだ」と音を上げているような時、「今はちょうど疲れが出る時期なので、力が入らず意欲が上がらない感じがあっても想定範囲内です。これから少しずつ調子が上がっていきます。大丈夫ですよ」

場面によって言葉は変化しますが、「今の在り方で間違っていません」「それでよいのです」というメッセージになります。