「立ち話も何ですから、どこかでお茶でも飲みながら話しませんか?」

「こんなおじさんと2人で良ければいいけど」

「じゃあ、通りの向こうにある2階にあるカフェはいかがですか? 窓側の席が空いていればT&Cを見ながらコーヒーが飲めます」

2人は連れ立って店を出て、道路の反対側にあるカフェに入った。

幸い窓際の2人掛けの席が空いていたのでそこに案内された。確かにT&Cの入り口がよく見える席だった。

周りの人には2人は親子に見えるのだろうか? それとも、と夏人が考えていると注文はと聞かれたので、コーヒーを頼んだ。

女性は紅茶とショートケーキを頼んだ。改めて見ると、クリッとした眼をしたショートカットの可愛い子だ。そういえば夕海も紅茶が好きだったと夏人は思い出していた。

「私はつなみです。美しい菜の花を摘むを逆から並べた摘菜美(つなみ)です。おじさんは?」

「南川、南川夏人です」

「それでは南川さん、質問です。一緒にT&Cにいらっしゃった好きな女性とは結婚されなかったのですか?」

「これはまた最初からかなりストレートな質問ですね。残念ながら20年前に別れました」

「別れた理由を伺ってもいいですか?」

「彼女が私の前から突然消えたんだ。振られたのだと思う」

「それは残念でしたね」

「もう昔の話です。でもここに来るとその頃のことや、彼女のことを思い出す」

「今、プレゼントをあげる人がいないということは独身ですか? 彼女のことが忘れられないから?」

「忘れられないから独身という訳でもないけれど、なんとなく機会がなかったかな」

 

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