【前回の記事を読む】会ったこともない男に“運命”を感じ……上京初日、彼女がかけた最初の電話は

第二章 桜

「おお、そう、そのスクランブル交差点の近くだよ」

「でも、ハチ公もスクランブル交差点もどっちも場所がわかりません」

「そうだろうね。君は、沖ヶ島から今日東京に着いたばっかりなんでしょう?」

「はい」

「じゃ、東京は右も左もわからないよね?」

「そうなんです。電車の乗り方もわからないから不安なんです」

「今、どこなの?」

「浜松町です」

「そう。それなら山手線で来ればいいよ。っていうか、俺がそっちに行くよ。19時浜松町で待ち合わせるとして、今夜どこに泊まるか決めてあるの?」

「はい、浜松町のナチュラルホテルに予約してあります」

「了解。それじゃあ、俺がナチュラルホテルに行くよ。19時にね」

「うわー。助かります」

「そのあと2時間ぐらい大丈夫でしょう? 俺が夕飯ごちそうするから、お腹すかして待っててね」

「えっ? いいんですか? でもそれまでの時間どうしてようか?」

「あ、そうか。まだ7時間あるもんね。あはは」

「私、東京は全然わからないから、どこへ行けばいいのかわからないんです」

「そうだな。たぶん、ホテルのチェックインって15時だから、それまで近くの喫茶店で時間潰してて。15時になったらナチュラルホテルにチェックインしなよ」

「チェックインって何ですか?」

「あっ、難しかった? えーと、ホテルに入って受付することだよ。あまり難しく考えないで大丈夫。フロントっていう受付があるから、そこで優しく教えてもらえるよ」

「わかりました。ホテルに入ればわかるんですね。でも、1回部屋に入ったら、そのあと出られるんですか?」