「跳ね橋ですね。それも一葉式跳開橋(いちようしきちょうかいきょう)タイプとは……。トキメイちゃうわ」
美羽は大の機械好きで、パーツを見るだけで、動いている姿がイメージできてしまう。
ちなみにこれは、パリ・ダカールラリーにおいて、女性メカニックとして参加したことがある母親の影響で、子どもの時分からオイルやタイヤ交換の手伝いに始まり、今ではエンジンをリフターで上げ、ひとりで分解整備できるまでになっている。
父からは民間伝承、母からは機械修理と、比較的どちらでもいいような趣味、嗜好だけを色濃く受け継いでしまっていた。
「私もここへお邪魔するたびに拝見していますが、まさに壮観のひと言ですよね」
下から照らす、ライトのせいもあり、まるで壁が迫ってくるように見える。
しかし、鉄同士が擦れるような、異常な音が響くと同時に橋が途中で止まってしまい、赤い点滅灯と同じリズムで、上下に揺れるだけになってしまった。
「あらら。また故障かー。じつは朝方に下ろしたときも調子わるかったのですよねー」
手を腰にやり、困った表情を浮かべる高岡。その隣では、唖然とした顔で、たたずむ探偵局員がいた。
「閉じこめられちゃいましたね」
「……そうね」
空から溢れるように降っていた粉雪は、いつの間にかボタン雪へと変わっている。山吹色をした巨大な建築物を背に、探偵たちは息を呑んだ。