俳句・短歌 短歌 故郷 2020.10.06 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第19回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 幾日も友と交際年重ね しわも白髪も愛する程に いにしえの公園歩く友と我 蓮の花咲く緑色の池 親友に僕を思うか尋ねると 目眩する程思うと答え
エッセイ 『迷子 うつと離婚と私』 【第11回】 野沢 りん 救急車で運ばれた夫。間違えて開けた携帯には…「会いたい、愛している」 遠くからお見舞いの人は少ない。お見舞いの人がくると羨ましい。患者は嬉しいのか恥ずかしいのか誇らしいのか赤くなる。ホールの隅のテーブルで手提げ袋を受け取る。私たちは遠くから見るともなく見る。でも気になる。そのうち、一人偵察に行く。「どうやらお菓子のようだ」と報告。洗濯物の時は速やかに解散する。お菓子を頂いてもお見舞いの方が帰ると看護師さんに預けることになっていました。どうしたことか、家族のお見舞い…
小説 『ザ・総選挙[注目記事ピックアップ]』 【第11回】 利根川 尊徳 私の立ち上げる政党は逆をやればいい。重複立候補者を立てずに勝利を掴めるか。 衆議院議員選挙への候補者発掘、擁立作業と並行して武藤は新党立ち上げの準備を用意周到に進めていった。総務省のホームページに自らアクセスしては、最新の公職選挙法を入念にチェックする中で、新党を五人以上の現職議員を含めて立ち上げれば政党要件基準日である一月一日時点での在籍議員数で政党助成金総額に対して人数割合に応じて政党助成金が国から支払われることになっている。仮にその政党助成金総額が三三〇億円規模と…