「ご苦労さん。現場はどんな状況?」

警官達が顔を見合わせた後、1人が話し出した。

「狂言かもしれません……その、死体が無いんです」

俺と片倉は顔を見合わせると、警官に尋ねた。

「スタッフには話を聞いたんだろう?」

今度は別の警官が話し出した。

「それが、誰も死体なんか見ていないそうです。念の為、控室を見てみたんですが、死体らしき物はありませんでした」

俺も

『狂言の可能性があるな?』

そう思ったが、一度現場を見ておこうと考え彼らに

「俺と片倉で現場を簡単に調べようと思う。誰も入って来ないように扉の前にいてくれないか?」

彼らは

「了解しました!」

と答えた。彼らの返事の後、彼らの間を通り控室に入ってみる。

室内に入ると、俺は部屋の中全体を見渡す。特に異状はなく、床に目を落とすが、不審なところはなく、一滴の血も付着していなかった。

片倉も部屋の中を観察していたがため息混じりに

「小林さん。狂言ですよ……確実に……」

俺も片倉と同じ考えだったが、片倉に

「ひとまず調べてみよう。片倉は向こうの化粧台の辺りを頼む。俺はテーブル周りとソファーの下を調べる」

二手に別れ、それぞれ調べ始めた。テーブルの下にも異状は無く、ソファーの下も這いつくばるように調べるも、これといって何もない。立ち上がり腰を伸ばしたところで片倉が俺に手を差し出し

「小林さん、これなんですが?」

俺は差し出された片倉の手を見た。

次回更新は5月18日(月)、16時30分の予定です。

 

👉『ヘルメスの遺児』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】触り方が変わってからは、指1本で支配された。何度も奉仕され、「もういい」と言っても、彼は止まらなくて…

【注目記事】心はすれ違っているのに、夫婦の営みを求める夫…夜は断ってはいけない気がして耐えた。苦痛で、一番辛かった。