【前回記事を読む】女子高生の定期券を拾った人物から突然の電話…「直接手渡しで返したい」と言われたが——その中には顔つきの学生証も入っていた
第二章 看護師へのルーツ
「あのう、岩田……さんですか?」
友だちを呼ぶ声がした。おおっ、来た! 予想どおり学生服ではなかった。
だからきっと高校生ではない。もっとずっと大人っぽい。背が高くて痩せ型。ツーブロックのアップバングショートの髪型。服装はネイビーのカーディガンにインナーは白シャツ、カーキ色のスキニーパンツを履いた脚は、すらっと長かった。
それから私は、陸上をやっていたこともあるからすぐにシューズに目が行くが、これまたセンスのいいことに、グレーのキャンバス生地に白の三本線の入ったスニーカー。
そして、顔は……、一目瞭然、格好良かった。
「はいっ、私です。拾ってくれてありがとうございました」
と言いながら、緊張しつつもニヤける友だちがいた。
「とてもお困りだったでしょう。そこの階段の真ん中あたりに落ちていました。すぐにご連絡をしたかったのですが、夕方にならないと帰宅されないと思いまして、夜になって電話をかけさせてもらいました」
定期券の落ちていた方向を指さしながら、彼は連絡するまでの経緯を説明した。
そうか、学生証に記入した番号はスマホではなく自宅の固定電話だったのだろう。それにしても高校生を相手に丁寧な敬語……。
なんて人当たりの良い素敵な男子、いや男性だろうか。私はすっかり舞い上がってしまった。そして、きっと友だちも、そう思ったことだろう。
「あのう、少ないですが、これお礼です!」