その夜。
「休憩にしましょう」
ちゃぶ台で自分の原稿を見つめなおす僕に、藍原さんが冷たいお茶を出してくれた。
「眠れませんか」
「ええ、いろいろと」
藍原さんが僕の隣に座る。
「わかります。私も自分の作品のことを思うと、心配になって眠れなくなる時がありますから」
「いえ、僕はそういうんじゃなくて」
口を開こうとした僕を遮るように、外からエンジンの音が聞こえる。
出てみると、大田さんの四駆が止まっていた。
「よお、坊主。渡したいモンと、見せたいモンがある」
「大田さん……」
大田さんは四駆から降りると、助手席の扉も開いた。
「先輩……」
降りてきたのは、つなぎの作業着を着た先輩だった。
「どうしてここに……」
先輩は俯いたまま、一言も発しなかった。
「あぁ……嬢ちゃんが連れていけと騒ぐもんでな。連れてきた」
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