わたしのために、ご主人様が悲しむ姿を見たくはありません。
充分幸せでした。
もし、小さな子猫を迎えることができたら、わたしのあとを継ぐよう
その子を立派にしつけましょう)
ヌシは、それだけ語ると、いつもの寝場所に戻っていった。そして、わたしは小さい女神様を迎えたのだった。
暗闇で袖をひっぱる女神様は、真剣な瞳でこちらを見ている。猫の眼差しはいつもまっすぐなのに、なぜすぐに気がついてあげられないのだろうか。自分の悲しみだけで精一杯なことに少し反省して、女神様と向き合うことにした。
ごはんだよね?
「いいえ」
遊んでほしいの?
「いいえ」
では、なぜそんなに鳴くの?
マフと呼ばれる長毛種特有の胸元の毛の波はふわふわと豪華で、黄金の背中の毛もすっかり生え揃い、バーマンらしい立派な出で立ちになった女神様、サファイアブルーの瞳が夕映えの中でも美しい。
その瞳がうるうるしているのにわたしはまだ気がつかない。一説によるとミャンマーの聖猫バーマンは、他の猫が一年も経たず成猫になるのに比べ、毛並みが整いきちんとした大人になるのに数年かかるという。最近、やっと大人になったなあと感心したところだった。
もしや?
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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