【前回の記事を読む】なぜコンクリートを強くするのか? 隙間を埋めて鋼材を守る、5つの性能と設計の考え方とは…

序章 プレストレストコンクリート

3. 設計手法

3.2. 部材の照査方法

(1)照査の方法

近年は,種々構造物の設計手法において,性能照査を主体とした限界状態設計法への移行が顕著になってきている.よって,本編では,限界状態における部材の照査方法を中心に述べる.照査方法は,材料および作用の特性値ならびに安全係数を用い,部材の応答値および限界値を算定したうえで,次式のとおりとする.

γi・Sd ⁄ Rd≤1.0(3.2.1)

ここに,
 Sd;設計応答値
Rd;設計限界値
γi;構造物係数

(2)安全係数
表-3.2.1に一般的に用いられる安全係数の値を示す.

(3)応答値の算定

(ア)曲げモーメントおよび軸方向力による材料の設計応力度設計応力度算定の仮定を以下に示す.

①維ひずみは,部材断面の中立軸からの距離に比例する.

②コンクリートおよび鋼材は,一般に弾性体とする.

③PC構造の場合,コンクリートは全断面を有効とする.

④PRC構造の場合,コンクリートの引張応力度は,一般に無視する.

⑤コンクリートおよび鋼材のヤング係数は,それぞれ適用する規準に準じる.

⑥付着がある鋼材のひずみ増加量は,同位置のコンクリートのそれと同一とする.

⑦部材軸方向のダクトは,有効断面とみなさない.

⑧鋼材とコンクリートが一体化した後の断面定数は,鋼材とコンクリートのヤング係数比を考慮して定める.

写真を拡大
 表-3.2.1 安全係数の値(線形解析を用いる場合)文献1)

PC構造の曲げモーメントおよび軸方向力による設計応力度は,コンクリートの全断面有効の弾性理論による方法で算定する.

PRC構造では,曲げひび割れ発生前は,PC鋼材には引張応力度が,鉄筋には圧縮応力度が作用し,ひび割れ発生後は,PC鋼材の偏心軸力が外力として作用する.よって,PC鋼材と鉄筋で補強された鉄筋コンクリートの設計応力度を文献2)に示される下記手順ⅰ)~ⅳ)により算定する.図-3.2.1にPRC構造の曲げ応力分布を示す.