【前回の記事を読む】人の生活を支える隠れた技術! 長い橋や大きな構造物に合わせて自由に設計できるようにした「ポストテンション方式」とは
序章 プレストレストコンクリート
2.使用材料
2 . 1.PC 鋼材とシース
(2) 特殊なPC鋼材
内部充填型エポキシ樹脂被覆PC鋼より線は,PC鋼より線の表面をエポキシ樹脂で被覆し,素線間の隙間を充填したもので,ECFストランド(Epoxy Coated and Filled Strand)と称する.
強靭できわめて防食性に優れるエポキシ樹脂で鋼材を被覆することで,高い防食性能を有するPC鋼材となる.
コンクリートとの付着を期待しない標準型と鋼材の表面に珪砂(けいさ)などを埋め込んだ付着型があり,用途に応じて使い分ける.
標準型には,エポキシ樹脂の紫外線劣化防止,防食性の向上を目的とし,さらに外側にポリエチレン(PE)を被覆したPE被覆型ECFストランドも製品化されている.
写真-2.1.1に標準型ECFストランドの断面を示す.
プレグラウトPC鋼材は,PC鋼材にエポキシ樹脂を塗布し,表面が凹凸状のPEシースで被覆した製品である.
緊張定着時は,エポキシ樹脂が未硬化状態でアンボンド仕様,その後は,時間の経過とともに,樹脂が硬化し,コンクリートと一体化する機能を有する.
また,エポキシ樹脂とPEシースの併用で2重の防食性能が得られ,PCグラウトも不要になる.
現在では,PEシースを透過する極微量の水分を利用してエポキシ樹脂を硬化させる湿気硬化型樹脂タイプが広く利用される.
写真-2.1.2にプレグラウトPC鋼材の断面を示す.
高強度PC鋼材は,JISに規定されている通常のPC鋼材と比較して,引張強度が10 ~20 %高い製品である.
通常のPC鋼材より,所要の緊張力を得るためのPC鋼材本数を減ずることができ,定着箇所数, 部材厚さの低減が可能となるため,PC構造物全体で使用材料を低減でき,経済性が発揮できる.ただし,専用の定着具,接続具が必要となる.
写真-2.1.1 標準型ECFストランドの断面1)
写真-2.1.2 プレグラウトPC鋼材の断面1)