夫は、先日の線状降水帯で壊れた工房の雨どいを修理しながら言った。地球はやさしくありません。田舎は不便なところも、多々あります。でも、ビジネスは起こせます。大それたことでなければ、チャンスは見つけやすいかもしれない。
日常の中に、価値ある課題もヒントも、むき出しで転がっていますから。いまから思えば、都会の仕事は、なんだか抽象的だったかな。
政治や地元の権力者が絡むと、少し厄介らしいです。地域にもよるでしょうけど。あとは、仲間と先生ですね。都会から自分の好きなことだけ持ち込んでも、浮いてしまいます。ここでは、後期高齢者が先生です。
ただ、能美さん。伝統的で豊かな暮らしを身体で知っているお年寄りが、もうみんな90歳過ぎてきて。暮らしや仕事の師匠が減りはじめているんです。僕らはまだまだ、この土地のエコシステムを教え抜かれていないのに。
ネイビーの行く先々で、働き学ぶことは、毎日の暮らしを中核に、離れることなく連環していた。
――おれたちは、どんな働く意義を感じて、どんなライフスタイルに近づこうとすれば良いのか、じっくり考えることを、メディアや組織に肩代わりしてもらい過ぎていたのかもしれない。
旅によって視座を変えると、大組織のサラリーマンが特殊な工業用品のように思えた。これまで150年、ホワイトカラーという種族が繁栄したように、次の50年も同様であろうとは、想像できなかった。
最上さんも、月に1度ほどのペースでやってくるようになった。常連とは反対側のカウンターの端にすわり、ときどきYOさんあたりの常連に声をかけられながら、たいていは本を読んでいる。タエさん説によると、3ヵ月に1席ずつ、すわる場所が常連側に近づいてきているらしい。
彼はときおり、こわいオッチャンのゼミにも顔を出し、学生のディスカッションに、じっと耳を傾けているそうだ。
次回更新は4月29日(水)、11時の予定です。
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