【前回の記事を読む】この家にいたらダメ人間になる。両親は至って普通の小市民だった。〇〇をし、それを必ず日記に事細かに書くこと以外は…

積善の家に余慶あり

両親は一日一善をすること以外は躾もせず、娘の『みんな持ってる』という友達二人のみんなの言葉を信じてスマホを買い与えた。

そして両親が機械に疎いのをいいことに使い放題のセットにしていた。思春期の娘が使い放題のスマホを持ったらどうなるか……。

ゲームやおたくサイトの動画見放題で四六時中自分の世界に没頭した。特にロールプレイングゲームに没頭し、対戦型ゲームの全国大会では優勝するまでの猛者になっていった。

そして、さらに聖徳太子ゲームというアプリで一度に複数のことを同時に聞き分けて回答や作業が出来るようになった。いわゆる超マルチタスク人間へと変身したのであった。

普通スマホの遊びにはまったら勉強が疎かになって受験どころでなくなるのだが、渚は普通の学生とちょっと違っていた。

山が好きでオープンキャンパスの時に見た皿倉山と権現山のダブルマウンテンの景色の元で学びたい!と強く思ったのがきっかけだったのでそのスマホの機能をフル活用した。

まず、北九州SDGS大学のあらゆる情報を集めその中から有益と思える情報だけを厳選し自分用にカスタマイズした。

情報を集めても有益に活用できなければ合格できない。渚は、そのことをロールプレイングゲームから学んだ。

いくら主人公が情報を持って敵と戦っても相手の急所を突かなければ勝てないのだ!

そして、合格した先輩たちの所に行きどうしたら合格するのかを事細かく聞いた。数人に聞いてまわるうちに合格するための心構えが分かってきた。

それは、突き詰めるとどうしても合格すると決めて勉強することだった。

それは、突き詰めるとどうしても合格すると決めて勉強することだった。

そして北九州SDGS大学を好きになることだった。

特に「すべての人に健康と福祉を」「自然を愛する」「安全な水とトイレを北九州から」という三つのビジョンには共感した。

渚自身、すべての人の幸せを願い、山などの自然を愛し、北九州は水とトイレですでに貢献しているのでその一員になりたいと思っていたからであった。

渚はその時、『私は、ここに合格する! その為の決心と動機がある!』と心に誓った。そして翌春、見事に北九州SDGS大学に合格した。

「あーあ、理系の大学に入ったのはいいけど、レポートの課題をこなすのに精一杯でクラブに行く余裕がない」

渚は大学に入って唯一、一緒に昼食を取る入江春海に言った。

「渚はまだいいよ、自宅から通えて。帰るとご飯が出てきて掃除や洗濯もされてて。どこかに炊事、洗濯、掃除をしてくれて、そして春海様のことが好きな素敵な男はいないかな?」

「いねーよ」そんな春海と友達になれてほんとによかったと思った。