田中さんとは以後親せきのようになった。実は田中さんの息子さん(三郎さん)がこのアイアン帰宅の翌日、次衛門氏宅に現れた。

息子さんにとっては凄くショックの急なアイアン消失で、三郎さんは会社から帰るなり、なぜ自分を待っていてくれなかったのかと両親をなじった。

その日はもう暮れて不可能と思い、翌日、早めに職場を切り上げて、次衛門氏宅を目ざした。何しろ彼にはそれしかなかった。

しかし三郎さんは出迎えたアイアンのいかにもゆったりした様子を見て、アイアンを撫でたり見つめたり、語りかけて納得したようで、帰っていった。

そしてしばらくして後に保護犬を飼い、その犬を連れて次衛門氏宅を訪れるようになった。アイアンにとって三郎さんは命の恩人であったが、その時、亡くした愛犬を思い深く落ち込んでいた三郎さんにとっても、アイアンは救いの主であったのだ。

次衛門氏と三郎さんはそれぞれの犬を連れてよくお互いの家を行き来する仲良しになった。それは、やがてそれぞれの家族も伴って交流していった。特に次衛門氏の次女と三郎さんは気が合い、時々二人で絵画展とかにも行っている。