【前回の記事を読む】卒業一か月前、 友だちの悪いところを書く「ありがとうの手紙」を交換することに…悪いことを書くのに「ありがとう」?
第一章 高学年の子たちと~分数から命の授業まで~
3. 逆数とは? 友だちとは?「深く理解したい子どもたち」
⑦ お楽しみ会ではなく「授業がしたいです」
このような学級だったので、卒業式を5日後に控えた日に、「もう授業することもほとんど終わったし、卒業式の前に何か楽しいことをしてみないか? たとえばお楽しみ会のようなことを」
と問いかけてみたときもおもしろいことを言い始めました。多くの子が、
「そうだね。ゲームをしたり、お菓子も食べたりして……」
と盛り上がっていました。
そのとき、ある子が、
「授業がしたい」
と言ったのです。その子は、
「みんなで意見を出し合って問題を考えていくことが楽しかったから、最後にああいう授業をまたしてみたい」
と続けました。するとそれまでお楽しみ会で盛り上がっていた子が一斉に、
「そうだ、そうだ。授業をしようよ」
と言い、
「授業がいい人、手を挙げて」
と自分たちで多数決をとって満場一致で授業をすると決定してしまったのです。そういえば近頃は卒業式の練習の合間に復習などをすることが多く、ダイナミックな授業はほとんどしてなかったなあと思いました。私はとてもうれしかったのですが、照れながら、
「本当に授業でいいのかい」
と念を押しました。すると
「いいよ、授業がしたい」
とまた盛り上がりました。
6年生の学習内容は全て終わっています。そこで、教材にはないものですが、国語の詩を読解することにしました。
これならば卒業しても解決しないで持ち越すことがなさそうだからです。授業はこれまでと同じように作者の立場に立ったり対象に思いを寄せたりとさまざまな角度から多くの意見が出ました。終わったあと、
「やっぱり授業はいいなあ」
「やってよかったね」
と満足した声が聞かれました。
この学級は、5・6年と連続して担任したので活動する内容もどんどんダイナミックになっていき、子どもたちも『学び合う楽しさ』を知ったので教師冥利に尽きる2年間でした。私は『自分から学びたい』という子どもの内発的なエネルギーを後押しするだけでよかったのです。