その結果、異例なのですが、執行官の判断で立ち退きまで1週間猶予期間を与える事になりました。
私は唖然とし「そんな事あるんかい? わざわざ裁判やって強制執行までこぎつけたのに、当人がごね通したら延期する? マジか?」と思いました。しかし執行官がそう決めた以上、それに従うしかありません。私達はまた1週間後に訪問する事になりました。
そして迎えた1週間後の当日、私達は現地に到着しました。再度執行官も来てインターホンを鳴らしました。
すると櫛田さんが玄関扉を開けて、私達に中に入るように言いました。少々緊張しながら室内に入ると、引越しの作業中でしたが荷物はたんまりと残っていました。
櫛田さんは私達に「今引越しの最中や! だけど自分達だけで仕事の合間をぬってやっとるからまだ終わっとらんのよ! だけどお前らの言うとおり出ていくからそれまで待っとれ!」と言うではありませんか。
こうなるともう我慢くらべとなります。しかし、荷物はしっかりと残っており、すぐに片付く量でない事は明らかでした。
執行官は私達に「執行官としてやれる事はここまでです。櫛田さんもこのように退去するための作業をしているので、終了するまで待つしかありませんね」と言いました。
私と早瀬の二人は櫛田さんが部屋から出るまで室内で待つ事にしました。
すると櫛田さんが私達に「あんたらもぼさっとしとらんと引越しを手伝ったらどうなんや? お前らが出てけ言うんやから出て行ったるんだぞ!」と言うではありませんか!
盗人猛々しい、とはまさにこの事です。私が「それは私達のする事ではありませんからお断りします!」ときっぱり言い返すと、意外にすんなり引き下がった事を覚えています。
また櫛田さんはこうも言いました。
「行き先は家主の自宅の庭にするわ! それで子供も道連れにして野たれ死んでやって大家にも辛い思いさせたるからな!!」
この発言に対して反論する事は止めました。口で言うだけで実際にしない事は分かっていたからです。むしろ言葉づかいを優しくし、櫛田さんを刺激しないように心がけました。
ただ櫛田さんの方は攻撃的な口調を止めません。しばらくすると、キッチンに行き、流し台の扉を開けて何かを探し始めました。
その時緊張が走りました。包丁を出すのではと思ったからです。私は鞄に手をかけて、もし包丁で刺してくるような事があれば、防御できるように身構えました。しかし、包丁がなかったとみえて、何もしてきませんでした。
数時間経過してようやく室内の荷物がなくなりました。その間に櫛田さんの小学生のお子さんが帰宅しました。
事情を聞かされていなかったと見えて櫛田さんがお子さんに「急やけど引越しする事になったから今からお父さんと一緒に行こうな」と伝えた時は、私もやるせない気持ちになりましたね。最後に鍵を受け取り、櫛田さんは出て行きました。
早瀬が家主さんに、櫛田さんが今しがた退去した事、万一家主さん宅に行くような事があれば構わず警察に通報するようにと伝えました。
結局櫛田さんは家主さんの所には現れず、どこに行ったかは不明です。
家賃を滞納するとこのような結果を迎える事にもなります。ご本人のみならずご家族をも巻き込む事にもなるので、滞納には十分にお気を付けくださいね!
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