【前回の記事を読む】クルーズ船で男性乗客がコロナに感染し、その後、集団感染…乗客は狭い船内に閉じ込められ、情報も不十分なまま…

第1部 コロナ初期 未知のウイルスに対し我々は戦う武器もなく、防備の支度もない中で立ち上がった

Ⅱ 船内で起きた“災害”〈流行初期〉
ダイヤモンド・プリンセス号での集団発生

また参加した先生が自ら乗員の診察を申し出てくれ、乗客に続いて、乗員の診察が行われた。当初は乗客の診察のみを想定していたため、この申し出は乗員をはじめ、多くの人たちに感動を与えたと聞いている。参加いただいた医師、看護師、事務の皆様には深い感謝を申し上げたい。

検疫業務は順調に行われ、検疫終了による下船は我々の業務の終了日である2月19日10時から始まった。同室者ともにPCR検査陰性で、健康チェックで異常なしという条件の揃った443名の方がこの日ダイヤモンド・プリンセス号を下船された。2月23日に最後の1名の乗客が下船し、乗客に対する検疫は終了したのである。

乗員乗客3806名中感染者は最終的に712名に及んだ。実質上国内最初の大規模なコロナのクラスター発生であった。我々には貴重な経験となった

(法律的にはダイヤモンド・プリンセス号船内は日本国外であり、検疫と診断は船内で行われたため、「国外で発生したコロナ患者を日本に上陸させ、治療を行った」という扱いとなり、ダイヤモンド・プリンセス号で発生したCOVID-19患者は国内発生にはカウントされていない)。

写真を拡大 表1 ダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客への対応状況

JMAT活動の全容を表1に示す。活動は2月14日から2月19日までであり、ミッション対象者は4051名でこのうち3783名の診察を行った。派遣医師は延べ73名、看護師は57名であった。他に東京都から医師8名、看護師3名、千葉県から医師4名の協力を得た。