『初指名から本指名へ』【みつき】

初めての女風は最高のひと時だった。

私は、世の中の頑張っている女性全てに女風のサービスを体験してほしいと本気で思う。

ただ、安くはない対価を支払わなくてはならない。

私は、教師という仕事をして一人前の給料をもらっていたこともあり、へそくりではなく、少しの蓄えはあった。

〝初指名〟から二度目の指名。これは〝本指名〟となり、金額も少しだけ高くなる。

それでも彼に会いたい。

またあの夢のような時間を味わいたい。

本指名のYくんの予定に合わせて、会える日の打診のメッセージをする私。

メッセージのやりとりはSNSを使っていた。彼は忙しい中でも丁寧に返信のやりとりをしてくれた。

とても人気のあるセラピスト。その予定に合わせることは、朝8時から17時の勤務である教師の私にはなかなか困難なことだった。

ある日、教え子を下校させた後、時間休を取り、女風の予約を入れた。

もちろん、教師にも休みを取る権利はある。

ただ、女風を利用するために取る時間休にはなんとも言えない罪悪感があったことは否めない。それでも、あの時間が忘れられずにどうしても彼に会いたかった。

いつもよりも早く職場を出ると、すぐに電車に飛び乗り、以前と同じラブホテルへと向かう。教師としての表の顔から、私は完全に女の顔になっていたと思う。

二度目に会う彼は、相変わらず優しい。私も、初めてのときよりも緊張せずに、彼に会うことができた。一度目は恥ずかしくて視線を合わせることもあまり出来なかった。

改めて彼を見ると、高身長に美しい顔立ち。早く触れてほしい。そんな気持ちを抱きながら、ベッドの準備や歯磨きの支度、お風呂の支度をする彼の手際のよい動きをソファから眺めていた。

二人で歯磨きを終え、ソファーに座る私に体を寄せて隣に彼が座った。

私の肩に手を置き、とんとんと緊張する私の気持ちをほぐしてくれた。そして、優しいキス。

本当はもっと、しっかり受け止めたい気持ちはあるものの、まだ恥ずかしさがあり、受け身のキスしかできなかった。

「今日、仕事早上がりして来ちゃったの」

「たまにはそんな日があってもいいじゃない? 明日はきっと、いい仕事できるよ」

と、女風のセラピストに会うために早退した私のことをYくんはあざ笑うこともなく、ただ肯定してくれた。

次回更新は3月30日(月)、22時の予定です。

 

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