【前回の記事を読む】夫の元カノが、私の目の前で「あなたがいないと生きていけない」と夫に抱きついた。夫が取られちゃう――と思った瞬間…
第十二章 明らかになった真実
「貢さん、どうかしましたか。私の記憶が戻ったのは嫌ですか」
「嫌じゃないよ、嫌じゃないけど……」
「何か困ることがあるのですか」
「沙優、俺は自分の気持ちを確かめるために、沙優の状況も考えずに、マンションを留守にした。いや、その前に瑠美とホテルに行った。たとえ何もなかったにせよ、許されることではない」
「えっ、何もなかったんですか」
「ああ、何もないよ、瑠美が証言した。俺を困らせようとして、嘘をついたと……」
「そうだったんですか」
よかった、何もなかったんだ。私は安堵の笑みがこぼれた。
「沙優?」
「貢さんが瑠美さんとのあの夜のことを覚えていないから、もしかしてって思ってました。だって、私は愛されていないと思ってたんです」
「沙優と知り合う前は確かに瑠美を愛していた。あの夜は放っておけないと思ったのも事実だ。でもはっきり分かったんだ、マンションを出て、沙優と離れてみて、分かった。遅いよな、俺、早く気づけよって感じだよな」
「本当ですか、良かった」
「沙優、記憶が戻ったのなら、沙優を目一杯愛することが出来るんだな?」
「駄目です」
「どうして、やっぱり許してはくれないのか?」
「違います。退院したら、赤ちゃん中心の生活になるので、目一杯は無理かもしれませんね」
「じゃ、今キスする」
貢さんと私はお互いの唇を目一杯求め合った。
入院中、華菜さんと連絡を取った。
「華菜さん、無事生まれました、男の子でしたよ」
「本当に、おめでとう。良かったわね、これから病院へ行くわね」
華菜さんはすぐに病院に来てくれた。
華菜さんは雑誌のライターの仕事をしており、自分の書いた記事の雑誌を刊行するのが目標と前に話をしてくれた。
「可愛いわね。貢、喜んだでしょ」
「はい、実は私の記憶のこと、戻ったって貢さんに話したんです」