【前回の記事を読む】「彼と寝たの。彼が愛しているのは私だけ」夫の元カノが、記憶喪失の私に言い放ち、すべての記憶が…

第十一章 蘇った記憶

私は華菜さんには本当のことを言おうと華菜さんに連絡を取った。

「入院って大丈夫なの?」

「生まれそうだったんですけど、もう少し時間かかるとのことで、入院することになったんです」

「生まれそうって陣痛が起きたの?」

「違います、まだそこまではならなくて。ただ、子宮の収縮が起きたのでお腹痛くなっちゃって」

「そうだったんだ」

「貢さんとキスしちゃいました」

「えっ?」

「記憶が戻ったんです」

華菜さんはびっくりした顔で私を見つめた。

「瑠美さんがマンションへ訪ねて来たんです」

「瑠美が?」

「香水の香りで、記憶が蘇ったんです」

「そう、それでそのことは貢に話したの?」

私は首を横に大きく振った。

「どうして?」

「だって、もしかして、記憶が戻らないことに責任を感じて一緒にいてくれるのかもしれないし、瑠美さんが訪ねてきたことを知ったらまた瑠美さんを放っておけなくて私の元を去ってしまうかもしれないじゃないですか、怖くてそんなこと言えません」

華菜さんは私の手をギュッと握ってくれた。

「華菜さん、私もうあの時の寂しさや虚しさは味わいたくないんです、貢さんのいない人生は考えられません」

涙が溢れて止まらなかった。

「なんか分かる気がする」

「えっ」

「貢が沙優さんに惚れた理由。だって放っておけないもの。私でさえ沙優さんを守ってあげたいって思うもの」

「華菜さん」

そんな風に言われて嬉しいやら恥ずかしいやらで、顔が真っ赤になるのを感じた。

「沙優さんはほんとピュアだよね」