あまりにもノー天気な私の反応に彼は呆れ顔だったが、私は直観で、この物件の将来的な資産価値は販売価格よりかなり高いと判断した。

つまり「無理をしても買うべき!」ということだ。

調べてみると、このマンション用地はグループ会社の社宅跡地だった。

つまり、土地の取得価格が安かったはずだ。近隣の他社物件に比べて割安なのは、おそらくそれが理由だと判断した。

不動産価格で相場より3割安いのは、因縁いわくつきの「事故物件」といわれる。事故物件とは、自殺や殺人が起こった部屋、そして心理的瑕疵(かし)。

そう、幽霊が出る物件だ。あとは、近隣住民に問題がある場合もある。

私の判断だとこのマンションは3割までは安くなかったが、2割くらいは安いと感じた。このデベロッパーが良心的なのか、担当者が値付けを間違えたのか、どちらかだろう。

私は信用金庫の担当者の助言よりも自分の直観に賭けることに決めた。

ダメもとで抽選に申し込んでみることにした。

もし当選したあとで、住宅ローンの審査に通らなかったら、キャンセルするしかない。

しかし、私の頭の中はローンの心配どころか、もう南青山のマンションに引越したような気分になっていた。

南青山で犬と暮らせる!

マンションの目の前に広がる森に沿った小路を、犬と散歩するイメージがすぐに湧いた。

どんな子と、ここで暮らすのだろう!

私は嬉しさで有頂天になっていた。

次回更新は3月18日(水)、19時の予定です。

 

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