「えっ、こう?」
俺は沙優の手をギュッと握った。
「手じゃなくて、ギュッって」
沙優は自分の身体を抱きしめた。俺は言われるままに、沙優をギュッと抱きしめた。
「貢さん、このまま答えてください、私を好きですか?」
俺はいきなりの沙優の言葉に狼狽(うろた)えた。どういうことなんだ、俺は本当のことを言っていいのか考えた挙句、本心を打ち明けた。
「沙優を愛してる」
「私だけですか?」
「もちろん、子供も愛してるよ」
「違います、私以外にこうして抱きしめたい女性はいますか?」
「いないよ、沙優だけだ」
「信じていいですか?」
「ああ、神にかけて誓うよ」
沙優は俺から離れてニッコリ微笑んだ。
俺は恐る恐る聞いた。
「沙優は俺と一緒にいてもいいなって思い始めてくれたのかな」
「はい」
沙優は頬を真っ赤に染めて頷いた。
私は貢さんの言葉を信じたかった。確かに以前は瑠美さんを愛していたのかもしれない。でも今は私だけを愛していると言ってくれた。
たとえ瑠美さんとホテルに行って間違いがあったとしても、そのことが間違いならそれでいいと思うようにしようと……
私は記憶が蘇った、でもそのことはまだ伏せたままにしておこうと思った。記憶が戻らない状態の私を愛していると言ってくれた。貢さんも心の中で、罪の意識に苛まれて葛藤しているのだろう。そのことを責めることは私には出来ない。
それに瑠美さんが訪ねてきたこと、私の記憶が蘇ったことを知ったら、また私の元を去ってしまうかもしれない。
次回更新は3月24日(火)、22時の予定です。
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